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2006年1月
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2006年1月
秀 句 鑑 賞
天地澄む
四季ある国の幸想う
小 牧
安藤 絹子
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「評」新年にふさわしい着想と表現が良く、格調も高い。中七から座五にかけ流れるような声調に、私達が住む日本の美しさが目に浮かぶ。世界中の人が観光におとずれる平和な国に住む幸せを感謝、世界遺産の名を永遠に護りたく思う。
天地澄む
銀嶺無垢の大志秘め
城 陽
三田村善七
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「評」或る人が雪山の美を「神々の座」と讃えたが、その清浄な風景に神の姿を見るが如き詩趣を感じたのであろう。この句は銀嶺を「無垢なる大志」と感得した。それはまた新年に寄せる作者の決意であり、心栄えかも知れぬ。
身を委ね
引き潮ばかり余命とは
京 都
高岡ひろみ
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「評」以前、西垣矩美子は「寄せる波 かえす刃の刻を得ず」と、土用波に不敵な詩心で対応したが、年老いて他人や家族の世話にならねば成らぬ悲哀感が、中七の詠嘆となって深い余韻を残す。特に座五の問い掛けるような詩句の哀しさに、冠句文芸が持つ香り高い芸術性が感じられる。
天地澄む
大樹揺すれば父の声
長 浜
清水 信子
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「評」田舎では子の誕生を祝い、庭に栗の木や松など植えると聞くが、この句は神社などの初もうでの折に、幾かかえもある大樹を仰いだ時の雄大さに、父の姿を感じたのであろう。冠題に負けぬ凛とした格調に並々ならぬ詩心が伝わる。
身を委ね
ゆっくり溶かす胸の寂び
豊 中
澤村 福男
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「評」冠句のような短詩文芸では前後の事情を述べたりせずに、冠題に対して直截に切り込むことが求められる。この句を温泉の独り旅と解するか、或は老いの孤独感と解するかは自由だが、悠々自適の心情こそ最高の幸せであろう。
天地澄む
富岳の麗姿まなうらに
瀬戸内
野口弥生子
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「評」一幅の名画を見るような句で、中七の述詞の目出度さもさり乍ら、下五「まなうらに」と詠み止めた心情こそ、日本に生まれ育った私達のシンボルである富士の麗姿に寄せて、作者の清らかな気迫に圧倒された力作である。
身を委ね
歳月淡き虹を抱く
京 都
中辻すみゑ
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「評」「倖せは遠くにありて想うもの」と言いし人あり、人を信じ人に慕われつつ時には夢(虹)を抱き、一日一日を大切にと希う作者。この世界には戦争もなく飢えもない、まして幼い子を殺めるような不幸も起きないのである。流麗。
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