文芸塔の塔映集では原則として叙景の冠題と叙情の冠題を出題しているが、 作句の基本は叙景 (風景や季節のモノ) には叙情の付句を配し、 叙情 (思いや喜怒哀楽のからんだ気持) には叙景の付句を配するを良しとしている。 つまり一句 (五七五) の中に景 (モノ) と情 (思い) をからませるのが基本である。
今月の冠題 「見え隠れ」 は叙景だけで無い心理的な意味を含む冠題だから、 少し扱いにくい冠題と言えるが、 選者としてはあくまでも流動的でワクを造らず、 作者の訴求とか感動に対して耳を傾けたつもりで有る。
次に 「断われず」 の場合は原則として断わる事が出来ない自分の心理的な弱さをモノに託して詠むのが原則で、 時には頼まれた事柄に従うか逃げ出すか?が問われる。 此の点、 会員欄の大川さんの句は実に冠題の心理の核心を突いて居た。 また同人の夏原さんの句も其の読みの深さに感銘した。 思えば冠句とは愉しい文芸である。
次に同人、 片山晃一氏の九月号塔映集作品が選考に洩れていたので、 お詫びして此処に掲載します。 |