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優秀冠句

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2005年9月

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秀  句  鑑  賞
星あおぐ 信じ続けた悔いは無く 大 阪 野口 正子  ▲戻る
   「評」 旅にゆき暮れたのか、 或は自分の現在や来し方を振り返ったのであろう。 思い詰めた詩句に己が運命を託して、 悔なき心情が熱く伝わる。 それが例え幸福の道で無くとも。 人を信じ切る気持が夜空を飾る星座のように美しく輝く。
星あおぐ 妥協拒みて檻の中 名古屋 中川 定子  ▲戻る
    「評」 女流作家と思えぬ激しい句で、 妥協や服従を良しとせず、 わが身をあえて心の〈檻〉にとじ込めた詩精神が凄い。 それはさながら荒野や密林に棲む野獣にも等しく、 天を仰いで声なき声で吠え続ける姿は、 現代女性の生き様を暗示する。
本音知る 秋闇深くなるばかり 茨 木 三村 昌也  ▲戻る
    「評」 談合や粉飾決算や汚職など、 現代の世相は真実の姿さえ歪んで見える。 暮れ早き秋の季節感を冠題に配して、 世の中の真実を求める作者の叡智は鋭く、 特に座五の詠嘆は私達の共感を誘うものがある。
本音知る 二つに割れた石の貌 豊 中 澤村 福男 ▲戻る
    「評」 短詩文芸のポイントは最短の詩語で最高の暗示性を、 モノに依って具現する事が大切だが、 此の句は予想せぬ句材で冠題に対応して見せた。 此のいさぎ良さと男らしい気迫は、 まさに作者の人生観を示している。 句材の石は路傍の石でなく、 相手を信じ切るを良しとする固い信念の石なのだ。
本音知る
無口な貝の吐きし砂 京田辺 山岡 美富 ▲戻る
   「評」 貝を清水に入れて見ているとパックと砂や泥を吐くが、 それはさながら自浄作用にも似て面白い。 警察用語でも犯人の罪状自白を 「泥を吐く」 と言う。 此の句は冠題に対する心理作用を活写して、 短詩文芸の魅力を教えてくれる。
星あおぐ 相触れずして遠く住む 岡 崎 西村たみ子 ▲戻る
    「評」 さながら韓流映画のように運命に支配される悲恋だが、 日本ならさしづめ七夕祭と言うところ。 中七に清らかな慕情のせつなさが汲み取れ、 小説的なロマンがワインのように甘く芳醇な香を残す。
本音知る 一語の重み忘れ得ず 瀬戸内 堀本  翠  ▲戻る
  「評」 昔から真実の言葉は鉄より重しと言うが、 彼の一語が作者の信念を変えたのであろう。 つまり 「ホンネ」 は真実の気持を包み隠さずに吐露するが、 時には相手を酔わせる魔法にも似て怖しい効果を持つ劇薬である。
   昔から釣りは磯釣にはじまって磯釣に帰ると言う。 植木は万年青に始まっておもとで終ると言う。 此の理由は定かで無いが結局準備や支度に手間が掛からず、 費用も安いのが魅力なのでは?と思う。 つまり永続性が求められるのであろう。
  私は初心の人に冠句の案内をする時、 かならず 「冠句は入り易く、 研究すればするほど奥の深い文芸ですよ」 と説くが、 ほかの趣味のように月謝を払ったり、 衣裳を揃える必要が無いのも魅力の一つだと言える。 冠句よ永遠にあれ―。
   




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