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2005年8月
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2005年8月
秀 句 鑑 賞
梅雨の街
文字走り出す電光板
八 幡
樋口 八重子
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「評」駅や街のターミナルで見掛ける光景だが、電光ニュースは政治や事故、犯罪など比較的に暗い内容が多い。梅雨の季節感を活かす中七と、写実が持つ無機質で都会的なうっとうしい情景とのからみ合いに、作者の個性とエスプリが感じられる。
梅雨の街
野性なくした灯が潤む
城 陽
中坊宇多子
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「評」梅雨は別名〈卯の花腐し〉とも言うが、無気力な季節である。作者はそれを「野性なくした灯」と詠み、さらに「うるむ」と重ねる。時を忘れた暗い舗道をうつむき加減で歩く作者の姿に眼を向ける者は誰も居ない。
故知らず
罵声あびせて春の鬱
岡 山
篠原 和子
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「評」都会に住むと女性でも気が短かくなってイライラするが、それは家庭内だけでなく例えば歩行者と自転車とのトラブルなど、互いに礼節を忘れて言葉が荒くなる。作者の教養と野性との狭間にゆれる座五の詩句に刮目した。異色作。
梅雨の街
和解に遠い電話切る
京 都
片山 晃一
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梅雨の街
こころの捻子を錆びつかせ
「評」おなじ作者の二句目の感覚も良く、一句目は小説的な着想を伏線として、梅雨の季節感が思わぬ展開を見せ座五の終止形に響く。映画のラストを思わせるテクニックが良く、失意の背を濡らす雨が冷たい。
故知らず
問わねばならぬ言葉秘め
長 浜
清水 信子
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「評」言葉は愛を伝えるが人を傷付ける両刃の剣である。今もし感情のままに吐く言葉が、すべての破滅につながるのでは―― と思う気持ちが、句主の心をためらわせる。それが作者の叡智と良識であり、奥ゆかしい人柄が汲み取れる秀句になった。
故知らず
哀愁とどむ古碑ひとつ
京 都
平井みつえ
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「評」観光地などに行くと見捨てられたように古い石碑が建っている。作者は旅に出ても誰もが見る名所や旧跡よりも、そのひそやかな碑に心ひかれる。「哀愁とどむ」と詠み止めた古碑に寄せる一期一会の詩心こそ、真の旅情かも知れぬ。
梅雨の街
別れたあとの灯が孤独
岡 崎
野村 民子
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「評」句意から推察すると若い人達の逢瀬で無く、家族と別に住む人とか、幾年ぶりかのクラス会の帰路などが想像され、深い淋しさが伝わって来る。それが梅雨の季語が持つ暗さなのだ。街に行き交う人達も黙々と過去へ過去へと去って行く。
御 礼
恒例の「冠翁祭全国冠句大会」も5月3日、京都市下京区富小路五条下ル「上徳寺」に於て、各地からの同好の人達のご参加を得て、盛会裡に厳修する事が出来た。
今年は総吟4,058章、投句雅284雅の参加が有り、各雅から過分なるご芳志を頂戴まことに有難く、心からお礼を申し上げると共に明年は「文芸塔社」が当番にて、各位の惜しみなきご支援をお願いして、お礼の言葉と致します。
松 風
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