冠句研究の機関誌発行『文藝塔』社創立は、一九二七年六月(昭和二年)である。その年のエトは卯歳の巡りで、また節分が二月四日の通年より、一日遅い略歴であった。翌年が閏年で四日が節分と続いた。本年閏年だが節分は三日と通年の暦で従って四日が立春だった。処で久佐太郎の生まれは卯歳でエトの干が違うが、創立は同じ卯の年である。それから八十九年目の本号が六月号に当たっている。そして発行日六月五日は、節気の芒種の日でいわゆる播種する時期の始まりを示す。創刊が七月号であって、種から芽と茎が立ち育つさまに、真に良く合った創立由緒歴だ。
扨て、来七月号より担当を「塔映集・同人」欄に移り、この“作品評”を今号で了え、筆を擱くこととする。これ迄「塔映山声・巻頭吟・冠吟作品」と継ぎ、冠句評論・芸談寸感ともした。その間管見を読まれた方に感謝したい。
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