文芸塔

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優秀冠句




塔  映  山  声
松 尾 明 美

 現代冠句は、久佐太郎によって文芸開花したもので、それ迄行われていた冠付とは、文芸性詩質内容を異にする。 横溝正史の小説で「……雑俳にもいろいろあるが、…冠句というやつです」と、語る場面あるがその創始は、俳諧師堀内雲皷を初めて世に示し、 五文字付・冠付として伝わっているのが、新詩型の俳諧世界でありそれを、文芸革新つまりルネサンスとしたのが、正風冠句誌『文藝塔』なのである。 従って、久佐太郎提唱の冠句が正風で、今日迄一千号を超え、冠句研究誌として月刊発行されている、と言っていい。 その冠句性は、初句五文字に間をおき、十二文字を詠み合わせ、二句十七字の詩を創造する短詩文芸の句心なのだ。 句を詠む愉しみとは、その詩型で真珠質の句を作することに、一心を相傾け切磋琢磨する、作家魂に浸ると云える。言い換えれば、句心を尽くすことに徹するのが真の趣味。

  はぐれ雁 雲にやすらぎ置かんとす  空 歩

好きな瓶  火色の香水欲す薄暮 三 村 昌 也 ▲戻る
 

 今夏は極めて暑熱高い猛暑日が長く続き、局地的に突風や竜巻そして、降れば豪雨と荒れ気象。 そうした暮らしの環境で「薄暮」に、アルコール類ではなく「火色の香水欲す」と、気の萎えに刺戟を与えたい表白は、一見女の皮膚感覚だが、 今は男性用もありナルシズムな感の概念詠嘆。

人 模 様  風荒ぶ日も夢を見る 加 納 金 子 ▲戻る
 

 対してこれは、平俗な日常生活でほのかな「夢を見る」女の心根を吐露している。人の世の明け暮れ「模様」の中で、 疾(と)つと「風荒ぶ」ときも譬えば一刻、青空見るのように、過ぎ去ってゆく手に晴れの「日も」来る望みを詠んでいる。 人生の渦を捉えての現実の嵐に、堪える生活譚。

人 模 様  終着駅は唐突に 福 島   旭 ▲戻る
 

 おなじ人生行路の景で、その旅程長さにも予定より「唐突に」来た、路線の「終着駅」と謂う降り場を描いた詠。 描写に省略見るが到ってみての、心の屈折感が伝わってくる。社会情勢の変化で起きるさまざまな、問題も含もう。

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