現代冠句は、久佐太郎によって文芸開花したもので、それ迄行われていた冠付とは、文芸性詩質内容を異にする。
横溝正史の小説で「……雑俳にもいろいろあるが、…冠句というやつです」と、語る場面あるがその創始は、俳諧師堀内雲皷を初めて世に示し、
五文字付・冠付として伝わっているのが、新詩型の俳諧世界でありそれを、文芸革新つまりルネサンスとしたのが、正風冠句誌『文藝塔』なのである。
従って、久佐太郎提唱の冠句が正風で、今日迄一千号を超え、冠句研究誌として月刊発行されている、と言っていい。
その冠句性は、初句五文字に間をおき、十二文字を詠み合わせ、二句十七字の詩を創造する短詩文芸の句心なのだ。
句を詠む愉しみとは、その詩型で真珠質の句を作することに、一心を相傾け切磋琢磨する、作家魂に浸ると云える。言い換えれば、句心を尽くすことに徹するのが真の趣味。
はぐれ雁 雲にやすらぎ置かんとす 空 歩
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