人工知能ロボット「ペッパー」は、対手の人の気持ちを読み取り、身ぶりを入れて会話し一緒に情(こころ)を交わすとか。
人工知能が格段の進歩をし、すでに各所で人間とおなじ働きをして、その賢さで読み分ける早さに、真に驚く限り。
然し、人の表情や表現の“尺度”を測るところが、もし違いずれが起きることを想うと、容易に惧にはなじめない。
昔は測る寸法が東西で異なってい、都京師では「念仏尺」が正しく、広く評判よく信用得て使われていた。
旧い上方落語に「天狗さし」の噺があり、その下げに「念仏さし」が付く。冠句を作す人にはよく胸に落ちる、噺の下げの話。
冠翁忌 ここらで当てよ念仏尺 久佐太郎
冠句始祖堀内家が営んで名高いのが、この「さし」で現代に遺っている物指。冠翁忌に因って判る理解ではある。
つまり、唯作句数のみ集まっても、その正しい“さし”が無ければ、目利き処や立ち居の場が見えなくなっていく。そして、感性品性は人工知能でも培えないと、思い至る。
-所詮、位・長とは、生得の事にて、得ずしては大方叶ふまじ。-(風姿花伝)
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