TOP > バックナンバー > 2015年7月
現代冠句は十七字詩の人生抒情諷詠で、付句十二字を詠むいわゆる冠題上五句は、 与えられて在るものではない。句心を発露させる胚(はい)であって、感動を生じさせ成育する。
桜・馬酔木・椿・紫陽花は我国産で、その色匂う「花」古来より賞でて来た。 句は「馥郁」の香気を憧れ女身「咲く」想いの詠。現実の景に重ねた聠想の美しさが勝った。
列島に「岬」多い中「かがやかに在り」と、望み佇つ姿にこれも女心の、ナルシズムな「熟れ」を詠歎。 それを眼の働きで感受し、大景美を感動で叙し「頃」を断定した。
世に「桃」山時代の文化が花開いたが、この「恋しき桃は遥か」も、春「恋」する地や美味への讃歎。 おなじに女の本情の浪漫性を、心の裡に湛えての何か熱っぽい表白。