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優秀冠句




塔  映  山  声
松 尾 明 美

 昼空に三四日の春月が渡ってゆくが、風は冬の冷たさに黄砂か春埃りが乗って、 春は名のみを思いあらたにし、せめて、ベートーヴェンの“ソナタ・春”を聴き、その長調の明るいメロディーの旋律に、その新境地を感じている。

手に包む  最後の筆の椿なり 浅 田 邦 生 ▲戻る
 

 万葉時代から愛でられた「椿」は、我が国の産で種名もジャポニカである。 唯花弁を散らさず重く落ちるので、繚乱美と手に触れぬ寂情感慨をもたらされる。句の「最後の筆の」に故知らないと、 心情見えて来ないが上向きに落ちる椿の風情は芭蕉も詠み、人に知られ判ろうが筆者は去る年作者の絵を目にしてい、この「手に包む」が怛く泛く。

風 に 花  平和いつまで眼は宙に 鞍 谷 弥 生 ▲戻る
 

 今日社会世情おぞましい事件種々起き、風雲予期も成らず句の「平和いつまで」もが、思い過ごしでなく伝わる。 前句での曲調はいいが治政に“明るさ勢い”の、強調あると精神が止まる訓えもある。心の「眼は宙に」の詠利く。

風 に 花  音冴え返るハイヒール 赤江橋 くにゑ ▲戻る
 

 対照して、この若々しい歩きの「ハイヒール」姿態の、活気横溢して「音冴え返る」光景は、往来さまざまな人群れの中、 寒気去らない気候での快い気分を描いている。ある詩の“梅の花と一緒”早春の「風」とを感じさせる。

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