文芸塔

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優秀冠句




塔  映  山  声
松 尾 明 美

 冠句は、五七五音十七字の抒情詩文芸で、人生・生活・自然・人情の諸相機微哀歓を、 感動表現する世界である。平たく謂えば、日常生活感から出る心動かされた、ハッと想う情と言える。そのハッとした処が“面白い”詩情で、 作句する“心を使う”愉しみの、尽きない核心と云える。そして一字一句の表現には、字の巧拙は問わず自作に丁寧な気遣いが肝心である。 発表された自句は必ず二度以上見る筈、その気持ちを作句原稿で石に刻む心で行うべき。つまり、作品に一心に向かうことで、選者に伝わるのだ。

石だたみ わが足音にまとう冬  桜 月
春支度暖流胸にたぎりくる恭 子
陽 と 鴉  大和ことばで話しいる 三 村 昌 也 ▲戻る
 

 『古今集』「にやまとうたは……よろづのことのは」と、和語つまり日本語の歌が遺る。 万葉集はその言葉を漢字表記し現代も感動伝える。古事記に「鴉」が神の道案内で出る。今日疎まれる鳥だが詩歌にはよく詠まれ、 この「大和ことば」も換喩詠で、物騒がしいが人世と離れぬ声音と描く。

夢おぼろ  どこまでも白湖吹雪く 夏 原 弘 志 ▲戻る
 

 今年元旦から「吹雪く」列島の明け暮れで、一面「どこまでも白」世界で「湖」面も覆われ、覚めやらない光景。 湖北に住む作者の地の風土景に、近年でも稀な琵琶湖風景だと泛かび見える。その稀な現象にうら淋しく眼路届かぬ、「おぼろ」さと、判り難い気象の涯を想い探っての詠嘆。

夢おぼろ  黄昏を知る遠い笛 野 口 正 子 ▲戻る
 

 対してこれは日暮れ迫る「黄昏を」ふと、何か「遠い笛」の音色を聴き留め、近づく「を知る」と思い悲しくして、 心に懐かしい「夢」ロマンを追っている。そして、“たそがれ”に女の敏で柔らかな俤を詠った、軽い驚きのイロニーが働いている。つまり“誰そ彼れ”来る期待感。

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