文芸塔

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優秀冠句




塔  映  山  声
松 尾 明 美

 行く年来る年に亘ってペンを運んでいる。本号は二月号で発行の頃は節分から立春。 旧暦での年越しで暦年はここから動き出し、風光り陽差しも真に明るく命躍動始める。顧みて午歳の昨年は“激動”して疾走、 その痕跡も深い感に、未の今年は枝葉茂り続き未来へ姿優しい羊歳を願う。そして、冠句を作す日月の道では、歓びも哀しみまた辛さ優しさ怒り驚きなど、 織り紡ぐ色々の詩の楽しみに、生きる志を失わず感動する想いを持ち続け、冠句詩を詠もう。

愛 の 星  眸ぬれ記者なにを書く 鞍 谷 弥 生 ▲戻る
 

 今の社会は謂えば、映像の色彩と音響で表し伝えるインパクトが強く、文章文字で綴り伝える“文字力”が遅れ勝ち。 今その場で「なにを書く」と、自問反問の「記者」の心境境遇を捕らえている。文に切り描くと云っても、現代は“ワードに指タッチ”が主流だが、 打ち告げる「眸ぬれ」には、筆やペン持つことと変わり無い純一さがある。つまりは人と人情に触れる機微への心配りが大切だとの詠嘆。

地下歩道  終生眼鏡を拭き続く 片 山 晃 一 ▲戻る
 

 現今の「眼鏡」レンズは、傷や埃また余り曇りも少なくなったが、汚れは避け難い。 その「拭き続く」行為への、慨嘆を言い「終生」研くとあるイロニーな語りで、人の世と社会構築の「地下歩道」を行く、 暗澹を換喩している。唯眼鏡レンズも用いようで、人生観すら語れ更に宇宙の涯まで映し見せられる。その骨頂がはやぶさの目と謂える。

地下歩道  陽の目に遠い冬の蝶 小 森 冴 子 ▲戻る
 

 対して、その細く長い「歩道」情景に、地上の自然に思い巡らし羽搏ちしない「冬の蝶」を、 蛍光色の中で「陽の目に遠い」感懐でふとイメージした、心弱い女の一面と凍てた姿で、生き動かないがそれでいて、 春へ越年してゆく生物のふしぎで命強い姿を憧れを詠っている。慥(たし)かな命。

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