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優秀冠句




塔  映  山  声
松 尾 明 美

 冠句を文学世界に導いた久佐太郎を、冠句で「なんたって久佐太郎先生がいちばんですから」と、 語るのは横溝正史作『獄門島』での、金田一探偵に応える床屋の主が話す場面の中だ。岡山・笠島港からの連絡船で渡船し、 瀬戸内の海に浮かぶ小島の中の、檀寺を舞台の事件小説である。神戸市生まれの作家で、編集者の経歴などが相似ていた。

静ごころ  刃物のような昼にいる 三 村 昌 也 ▲戻る
 

 一読、身膚刺す寒気の句にもあったと思うが、この「刃物」の今夏の猛暑の「昼にいる」暮らし方は、 心頭滅却できない中の感じ受けとして伝わる。感覚比喩での孤独芯。

静ごころ  今日を限りの花を訪う 夏 原 弘 志 ▲戻る
 

 通常では「花を訪う」とすれば、桜に尽きるがこの「今日を限り」に、 槿花一朝の白や芙蓉の紅が夕に落つ光景観が泛く。叙述の言い取りの作者の心の揺らぎに余蘊(うん)みる。

夜の仲間  果てしなき海さまよいて 藤 原 萬 郷 ▲戻る
 

 茫渺として蒼く広がる「海さまよいて」行く、男達の姿に哺乳類の鯨の泳ぎと、 街邑「果てしなき」点滅の夜闇の魅惹を感じる。心掻き立てる大都での屯(たむろ)と命の群れ想像。

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