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優秀冠句




塔  映  山  声
松 尾 明 美

 いつの時代も、清新な書き手描く人の登場で、芸術分野は拓かれていく。 俳諧では芭蕉でありまた、その貞徳門の堀内雲皷である。雲皷が始めた“五文字を置く”句立が、新しい詩型の“冠句”であり、 文献で初めて今日世に示し、「正風冠句」を詠み時代に興したのが、久佐太郎である。それから九十年目が訪れてくる。新しみを切り開きたい。
  冠翁忌 ここらで当てよ念仏尺 久佐太郎
  冠翁忌 わが灯芯のさだまらず 早川桜月

銀 の 笛  G線の音に身を寄せて 浅 田 邦 生 ▲戻る
 

 バッハ作曲のバイオリン演奏を、G線だけで奏すアリアの「身を寄せて」の共鳴感。 澄み張った“詩と叙情美”に倶に応え合って、生命の郷愁を求めている、心境見える。

恋に生き  わが終世の華となる 加 藤 直 子 ▲戻る
 

 時代は変わっても、女人が「終世の華となる」情(こころ)を望み持つ想いは渝らず、 万葉浪漫性がいまに通じている。美しく烈しくして、濃密で柔らかい本然な姿を語っている。それは、恋と愛を直截に叙べつつ、熱っぽく欲す念いだ。

恋に生き  玉(たま)響(ゆら)の過去呼び戻す 高 階 睦 代 ▲戻る
 

 対して、必ずしも生涯長く留まらなくも、意(おもい)の裡に「玉響の」少しの触れ合いを、 深く思い駆り立て「呼び戻す」懐情に、細かな襞までを追う気質を出している。心理詠。

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