文芸塔

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優秀冠句




塔  映  山  声
松 尾 明 美

 作品一句一句は詠むとき書く場で、苦心と楽しみが織り絡むが、 作句が完成したのちに人の目に止まり、その心に残って共感を得ることで、一句の目的は成就と言えよう。 その後に作者の手を離れて、自在に活き続け“忘れられない”作になり、人の琴線に鳴り響くと、至上の作である。 作り手を離れ、読み手観る人の胸に生きる句作をと思う。

海 に 虹  一縷の初志に青年は 赤 島 よし枝 ▲戻る
 

 思いを諦めずにいれば、その「初心」が達すると謂われることを、 心中「一縷」にしている「青年」への期待讃歌。細い糸すじを切らさず、破れさせず向かう先に旗めく帆。

影を持つ  無頼の古き傷疼く 沢 田 清 敏 ▲戻る
 

 人生の起伏する道で、自ら強面に来た「無頼」派の姿を、 それを良しとしながら、ときに「古き傷」として「疼く」思いに触れた旧懐。真心には恥じない若き日の鋭くて、 折れない神経の呼吸(いき)つぎを、賤しめずに顧みた漢の老い心。

海 に 虹  魚の眼にも早や春が 加 納 金 子 ▲戻る
 

 読み下らして、芭蕉の“魚の目に泪”の名吟感じるが、 これは「早や春が」輝いている、しろうお・いかなご・蛍烏賊などの、うま味を思わせる。 活魚だから“まぐろ”の一本釣りを、山葵をなしでもと思いめぐらせる。潮の香。

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