文芸塔

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優秀冠句




塔  映  山  声
松 尾 明 美
雪降る日  骨の髄まで飢えている 滝 沢 茂 樹 ▲戻る
 

 昨年積雪も多く北の国では、その吹雪による被災で車列停止の難で、 親が子を抱き覆って凍死の報道があり、白魔の怖さを雪にみた。吉(よ)き事多く重なれと、万葉の家持が元旦に詠んだが、 吉祥の兆しと正逆する雪の象に、この作は強烈なまで「飢え」の覚えを訴えている。飢餓の記憶と別な心の裡のもので、ひらつく感覚の「髄まで」が勁切だ。

瞠 く 夜  凍裂音の刺さる旅 沢 田 清 敏 ▲戻る
 

 極寒期に生じる湖面や海氷の「凍裂」を、想い描いている情景で、 神秘性と自然現象の厳粛に、心身「刺さる旅」懐を捉えている。神聖視される“御神渡り”が有名で、 また春先の“流氷”相うつ「音」の、光景句も多くあるが、作者の生活境涯性が含まれた処に、対者を欲す心境判る。

雪降る日  農事ごよみを諳んじる 藤 原 萬 郷 ▲戻る
 

 列島の四季は東西南北、多様多岐で“豊凶”相合わせ、輻輳して災禍も毎年起きるが、 作者が「諳んじる」栽培計画で、準備の楽しみと「農事ごよみ」のあれこれに、月月行い生じる作物の命の芽への、語り掛けがあり平常でいて無常の、 流転の集約が語ってある。その吉事重(し)けよ。

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