TOP > バックナンバー > 2014年1月
二句十七字音で、一章の詩句を詠誦する冠句は、 作品全体を通して「序・破・急で展じ、初五に響を照応する」内容詠出が大切だ。作品を一読して眼前する印象美が白眉。
列島の山容は総じてなだらかで、冬季を分けて「緑」ゆたかで穏やか。 名山でなく近郊のそれが「術後」に、際立って「まばゆき」と受けた実感印象。高齢の白内障で眼球手術で得られた、 視界の明るさの回復を、まじまじと知覚の感銘。眼帯が取れこれまでの「霞の目」晴れた欣びだ。
都市社会は現代超高層建築が出現。さながら林立の景観が、 コンクリート群の砦で低層・戸建家屋を囲む。が曽て「十階」建てが「華なりき」と感懐映出に、屋上公園などで、 娯しみ賑わった時代光景美への、こよない愛しみを語っている。因みに京の「デパート」は、景観性調和へ優先。
美の譬えで類似多い、昆虫で最も色彩多様の「蝶」が、たわむれる風情を憧れ、 その類でも斑文翅の変化多い“蛺(たては)蝶”種を、「冬の」季にも「現れよ」と渇望した生命詠歎。花蜜尠く凍ての風に飛ぶこと見ない境に、筆者も想う景。