文芸塔

文芸塔社とは?ページへ 行事予定ページへ 優秀冠句ページへ 投句ページへ イベント報告ページへ 冠句のお誘いページへ バックナンバーページへ 問合せ先ページへ

TOP > バックナンバー > 2014年1月



優秀冠句




塔  映  山  声
松 尾 明 美

 二句十七字音で、一章の詩句を詠誦する冠句は、 作品全体を通して「序・破・急で展じ、初五に響を照応する」内容詠出が大切だ。作品を一読して眼前する印象美が白眉。

山晴るる  緑まばゆき術後の日 竹 尾 真 弓 ▲戻る
 

 列島の山容は総じてなだらかで、冬季を分けて「緑」ゆたかで穏やか。 名山でなく近郊のそれが「術後」に、際立って「まばゆき」と受けた実感印象。高齢の白内障で眼球手術で得られた、 視界の明るさの回復を、まじまじと知覚の感銘。眼帯が取れこれまでの「霞の目」晴れた欣びだ。

そ の 昔  十階デパート華なりき 松 浦 外 郎 ▲戻る
 

 都市社会は現代超高層建築が出現。さながら林立の景観が、 コンクリート群の砦で低層・戸建家屋を囲む。が曽て「十階」建てが「華なりき」と感懐映出に、屋上公園などで、 娯しみ賑わった時代光景美への、こよない愛しみを語っている。因みに京の「デパート」は、景観性調和へ優先。

山晴るる  冬の瑠璃蝶現れよ 川 口 未 知 ▲戻る
 

 美の譬えで類似多い、昆虫で最も色彩多様の「蝶」が、たわむれる風情を憧れ、 その類でも斑文翅の変化多い“蛺(たては)蝶”種を、「冬の」季にも「現れよ」と渇望した生命詠歎。花蜜尠く凍ての風に飛ぶこと見ない境に、筆者も想う景。

HOMEへ戻るボタン



Copyright:©2005-2017 bungeito-sya All rights reserved.