文芸塔

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優秀冠句




塔  映  山  声
松 尾 明 美
秋 の 影  マロニエの夢棘に秘し 上 田 國 寛 ▲戻る
 

 トチノキ科の落葉高木で、見分けが分からないが「マロニエ」の七つ葉が、 稍小さく鋸歯がくっきりし実にトゲがあるのが特徴と。わが国の橡(とち)はアクを抜き黄粉をまぶし、トチ餅として、 昨今昔の味を楽しませる所が増えた。作は洋木の花も大型の白で「夢棘に秘し」と、実も愛翫した。フランスの詩にも想い馳せ、 秋寥感を街の敷石に揺落した朝夕の冷たさを、一入哀れでいて清らかさに夢見で偲ぶ。

河に沿い  三たび築堤月見咲く 橋 本 信 水 ▲戻る
 

 今夏集中豪雨で各地の河川が増水で氾濫、堤防が崩れ橋脚も欠損し濁流で多くの町や村が冠水した。 近年は度々ある災害に「三たび築堤」も、強ち誇張だとも言い得ない。作者の地域の河川か真偽は別に、今夏は美しく「月見咲く」情景が、 堤延び広がる背景にあった、悲惨な災禍で失われたことごとを怛(いた)んで見える。何処か凄(せい)艶な哀調光景。

秋 の 影  二人の妻と語る日も 浅 田 邦 生 ▲戻る
 

 この作は、慶・弔の情(こころ)裡を投影させて、モノローグ性を対詠性に換えて、 一句の周りに人世(よ)の哀歓をで浮き立たせて、芸術域の性格で描写している。喪った「妻と」伴侶の「妻」と「二人」「語る」 いま在るを“匂い・移り”の口吻で読み語っている。デリカシーの感性がに極まる。

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