文芸塔

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優秀冠句




塔  映  山  声
松 尾 明 美
静かな夜  海峡跨ぐ橋灯る 佐 藤 眞 一 ▲戻る
 

 本州列島は嘗て、船舶で九州・四国を渡ったが、関門、瀬戸、 鳴門を現代は「海峡跨ぐ橋」が懸かり、夕景や海霧の気象に架線が「灯る」海景美が現出する。 作はその景観だが、描写用語の明確さで光景が現在的に、より即物な重量感で支えている、感歎がしっかり出て、照応効果働く。

静かな夜  介護さる日の有り無しを 松 浦 外 郎 ▲戻る
 

 対して一読しみじみと、今日社会世相の哀愁に浸される。福祉「介護」制度は出来ているが、 自らが「介護さる日」の到来を、思い案じ「有り無しを」と、境涯性の呟きで告げている。誰も避けようない事情を格助詞ので提示した。

低 い 嵩  落選ビラ風が鳴る 伊 関 和 風 ▲戻る
 

 投票権行使の一票の価値判断が問われるが、当選に至ら無かった票数で「落選の」光景批評である。 候補者の「ビラ」はポスターであろうが、剥がされないままの非情か、「風に鳴る」と、敗退し消えるしかない者への翳を描く。

低 い 嵩  妖しき夢より覚められず 樋 口 八重子 ▲戻る
 

 「夢」の内容を凝視して敢えて「妖し」とした、小惨劇への動悸が判る。類型多い夢見譚で句境も動くが魅惹率直。

静かな夜  湯気の向こうの籠枕 鞍 谷 弥 生 ▲戻る
 

 一読私小説の一場面描写のようで、物語性の展開想像。

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