TOP > バックナンバー > 2013年6月
能の「風姿花伝」奥儀讃歎云に、「上手は、目利かずの心に叶ふ事難し。」と訓じ、その得たる上手も「工夫と達者とを極め」る嗜みで、「物数を尽し、工夫を極めて後」花失せない、遍く面白い結実へ至ると述べている。つまり句の道に換えると、創作での推敲と初心忘れぬ上手に冠句性を学んで、上手の眼にも届く風美の妙花を開くべきといえる。
水たまり 余命を燃やす梅雨茜 桜 月
想い断つ 愚に徹すべく花の中 麗 水
内陸住まいは時に海潮の香を憧れる。その風の「湿りを得て」踵返す姿は、 春塵や浅春の乾きの哀愁を充分に融かし得た感触を伝えている。加齢の「肌」に気分が揺曳。
一年を二期に分けた「祓」で、夏越の「茅の輪」潜りの行事詠。実は禊の習いで来る半期健やか念ず民族性描写。
民族国家の争いで抑留のまま、還らぬ「父霊」の魂魄を残骸と、痛く激しく憶い悼んだ無技巧で、直截な心情嘆。
雪の「夜空」にくっきりと、鮮やかで印象巨きく舞うオーロラの感歎。一瞬でも神秘なビバルディの曲調印象響く。