文芸塔

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優秀冠句




塔  映  山  声
松 尾 明 美

 冠句性の風雅精神は、ポリシー・ポエジー・ポテンシャルにあって、つまりは作者の句心のありようにつきる。従って句心の魅力で人の印象に、いつ迄も残る作句が肝要。

仰 ぐ 空 耳ふたつ立て悲に耐えし 川 口 未 知 ▲戻る
 

 穢れない広がりに向ける心の「耳ふたつ」に、屈託の時代が写し込まれその「悲に耐えし」見る、 想いの姿がゆゆしいこと多い響きも伝えている。暮らしの哀切は口数も尠くなり、只管に瞳を凝らして“地上の星”を探して佇つ。

翳を負い 殺鶏を提げ鶏の前 三 村 昌 也 ▲戻る
 

 一読して卒然たる光影の「鶏を提げ鶏の前」での挙動。 類型なくはないが、今しがた「殺め」た家畜を食物とする心「翳」歎は、無表情でいて、覆いかぶさる生命の孤愁。

仰 ぐ 空 野良着馴染みて元教師 中 川 定 子 ▲戻る
 

 収穫後の田畑を耕す姿の「野良着」が、風景にも「馴染み」佇っている。 実感を打ち出した「元教師」が、生業でないことに就く心懐を、愛着する口吻で洩らして親わしい。

翳を負い 無言がつづく冬並木 樋 口 八重子 ▲戻る
 

 日頃往き慣れた「並木」が、閑寂と「冬」ざれている光景に、心理的陰翳を伴って歩む情が実直な詠嘆さで描出。

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