TOP > バックナンバー > 2012年12月
――冠句のこころは言葉の芯に情緒が映り響く――詩。人生萬象、生活風景のそれぞれを創作力豊かに詠む世界。
起伏に豊んだ放牧地を「ゆるり」と、群れ動く中に「仔牛も」混じっている光景。 映像の遠望切り取り描写であって、畜産場の生活季感の移りを「秋を降り」と結んで、情景に具象の美で感歎を伝えている。句境の切り込みが利く。
端麗で香気溢れる「咲く薔薇」を讃える句は多い。その美「神に愛でられ」と詠み、丹精の欣びを率直に語った。
閑かで奥深い外景に「鳴き渡るこえ」を描き、鳥渡るに込めた微妙な心情が「従きくるよ」に、鋭く生命観映した。
雑多な情報満載の「週刊誌」を採り上げ、世事風俗の隈どり鮮烈な現代の出版界を、他愛ないが明るい批評描写。