文芸塔

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優秀冠句






秀  句  鑑  賞

 

探る径 一些事ならず小さき墓碑 奥 山 呼 潮 ▲戻る
 

 故あって「小さき墓碑」を訊ね訪うことへ、思い立った勁切さが「一些事ならず」と吐露したのだろう。昨今は外国産石の艶光りした霊園墓石が多くなった中、その地で没した石に刻された文人を心親う感懐が、墓地の一景を凝視するように詠まれている。

冴え響く 緑消しゆく砕石場 橋 本 信 水 ▲戻る
 

 中国地方や四国瀬戸内に「砕石場」が多い。○○産として一級の名石もある。荒々しくして整然と截り出される光景が、四囲の広大な光景と対比して「緑消しゆく」音響に、言葉巧まぬ描写で語られている。特段な叙法ではないが崖石の量感が迫って見える。

探る径 山の形に山昏れる 小宮山 初 子 ▲戻る
 

 おなじ山容でも"里山"が「山の形に」馴染んだまま、今一日安穏に「昏れる」景趣である。審美的な美でないが或る穏微な心細かな詠みぶりに、作者の住地や住み心地よい町の景が伝わる。

冴え響く 老いたる梅に酒献ず 川 口 未 知 ▲戻る
 

 有名な故事の一つを憶うが、これは作者の精神性や心理の綾を歎じた、境遇を「老いたる梅に」託して、一席の雰囲気を描き出していよう。ことごとしく言わず座のヒリッとした気を出した。

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