古代歌謡集で 「万葉集」 は一般によく知られているが、 天平時代に石に詠まれた、 国宝の 「佛足石歌」 は歌体が漢字一文字にわが国の語一音を当てて、 形式も五・七・五・七・七・七として、 仏足跡を讃えた歌を万葉仮名字で、 碑に刻んだ天平期のもの、 文字の無かった古代の日本で、 漢字を借り二十一首を詠んでいる。
詳しくをここで述べる必要もないが、 釈迦牟尼仏の御み足あ跡との功徳が、 天地まで震動=感動させる追善の歌詞は洵に諧調でいい。
毛呂毛呂須久比 和多志多麻波奈 須久比多麻波奈
この、 七・七・七から歌の短歌と連歌体が生じてゆき、 また"いろは"歌の"ひらがな"が創られた、 文字と詩型の経緯は深奥。
冠句の五文字は、 連歌体型の下七が転じて置かれた句立であって、 従って、 冠題とは謂っても詩型上"題"で無いこと明らかで深い、 歴史的な必然の上に成り立っている世界だと識って、 冠句の文字遣いの愉しさと奥深い興趣を、 併せ持つ作句をと思う。
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