立秋後に筆を起こそうと考えはじめていた処に、 東海駿河湾で震度六弱の揺れがあり、 併せて京都で気温三十六度近い猛暑に、 文頭が鈍って了った。 加えて台風九号の影響による雨で、 兵庫県他の地域で豪雨被害の発生を、 報道で見受け心重い痛みを覚えさせられている。 衷心より被災地にお見舞いの辞を先ず申し上げたい。
天地壊え八月いたき胸の芯 明 美
短詩文芸の一分野に人間性と自然の心象景を詠む、 リアリズム確かな抒情詩が、 冠句性の本質で日々の生活投影と、 人生諷詠の色彩明暗や哀歓を、 二句衝撃の手法で書くことが冠句と言える。
時きざむ死の灰と見えず時雨うつくし 久佐太郎
以前にも述べたように、 二句十二文字文芸の"五音"は 「感想部」 として、 詩型上成立したもの俳諧エッセンスの所以である。 詳しくは省くが、 その付合の照応美を追究する句作りをしよう。 |